モノクロ*メランコリック
りさはしばらく俺の顔を眺めていたけど、やがて「馬鹿ね、あんた」と言った。
「…知ってるよ」
「そうじゃないわ。考え過ぎなのよ、真白は。先のことばっか考えてたって、何も始まらないわ」
りさの強い瞳が、俺を見据える。
…わかってる。
わかってる、けど。
りさは俺の不安を見透かした上で、とても強く、言った。
「…あたし達の十五年間が、恋愛だとかその程度のもので崩れると思ってるなら、ぶん殴るわよ」
どく、と心臓が鳴る。
…『恋愛だとか』なんて言える彼女は、すごいと思う。
けれど、俺も心の何処かで、そうであってほしくないと思っていた。
恋愛なんかで崩れるような絆であってほしくないと、確かに俺は思ってる。