モノクロ*メランコリック


「あっ、ミアちゃんだー」

「超かわいーっ」

「劇見にいくね〜」

「ありがとうー!」


知り合いの女子達が声をかけてきては立ち止まって、軽く話をして、また歩く。


そんなことを繰り返していたから、まともにシロを探せない。


ううっ…ホントにどこにいるのよ。シロも王子様の格好して、宣伝してるんじゃないの!?


腹が立ってきた時、ちょうど視界に、町娘の衣装を着た女子の姿が入った。

…あれは。


「柳田さんっ」


思わず、藁にもすがる思いで声をかける。

彼女も宣伝のためか、『1-4』と書かれた看板を持って立っていた。


私の姿を見て、驚いたように目を見開く。


「姫宮さん…うひゃあ、可愛いね」

「ありがとう。柳田さんも素敵だよ」


そう言うと、柳田さんは「ありがとう」と頬を染めた。反応がいちいち可愛いわねチクショウ!


「それで…その」


耳貸して、と言って、彼女の耳元に口を近づける。

私はこそっと、小声で訊いてみた。


「し…進藤くん、知らない?」


すると、柳田さんは私の顔を見て、そしてクスッと笑う。

思わず、顔が熱くなった。



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