モノクロ*メランコリック


だ…だって。

シロと同じクラスで、シロのことを尋ねても不自然じゃない人って、柳田さんしかいないんだもの。


柳田さんはこれまた可愛らしく無邪気に笑うと、今度は彼女が私の耳元で囁いた。


「王子の衣装は、まだ着てなかったと思う。澤野くん達と回ってるのかも。衣装を着て宣伝するのは、お昼前じゃないかな」


じゃあ…ちょうど、私達の劇がやってる頃じゃないの。


私のクラスの劇は、今から一時間後。

シロと柳田さんのクラスの劇は、お昼からだったはずよね。


うう、どうしましょう。

もうそろそろ、準備をしに体育館へ行かなきゃいけないわ。


ああもう、シロの馬鹿!ついでにシロを連れて回ってるらしい、澤野くんも馬鹿!!


「そ、そっか…ありがとう」


少ししょんぼりしてお礼を言うと、柳田さんは気遣うような目をした。


「…上手く…行ってないの?」

「い…行くように、これから頑張るの」


そうよ、ここで負けちゃダメだわ。

顔を上げてそう言うと、柳田さんは嬉しそうに笑った。



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