モノクロ*メランコリック


だってアレよ?

狩人って、女王に命令されて白雪姫を殺しに行ったのに、結局良心が勝って、白雪姫を森に逃がすのよ。

実はいい人なのよ、狩人。


「…ふっ、ふふふ、あははは」

「…いつまで笑ってんだ」

「竜崎くん、最高」

「…そりゃどうも…」


竜崎くんと私が歩いていると、みんなが道を開けてくれる。

それすらも面白くて、私はしばらく笑いが止まらなかった。



そうして、私は結局シロを見つけることができないまま、劇を終えた。

満員の観客席から拍手が響き、幕が下りる頃には、私はいてもたってもいられなくなっていて。


「お疲れー!」

「良かったよー」

舞台裏でみんながわいわいとする中、私は衣装を着替えることなく、うずうずしていた。

劇、上手くいってよかった。

そう思うけど、今はそれよりシロよ!


隣で何やら笹原くんが、「ハァ、マジだりぃー」と男子へぼやいていた。



「今朝靴箱見たら、紙入っててさぁ。文化祭だってのに、『午前十一時すぎに、校舎裏に来てください』って呼び出されてんの。この後すぐだよ。だりぃ」



笹原くんの言葉に、周りの男子がケラケラ笑う。



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