モノクロ*メランコリック
「モテる男は大変だなぁ」
「がんばれ、色男〜」
笹原くんは相当面倒くさいのか、ため息をつきながら「ミアちゃーん」と私の肩に手を回してきた。
「呼び出し無視って、俺と文化祭回ろ?」
「回らないっ」
そう返事をすると、私は立ち上がった。
そして白雪姫の衣装のまま、体育館を飛び出す。
「えっ、ミアちゃん!?」
たぶん、由美ちゃんの声。
けれど私は、振り返らない。
…早く、早く。
シロに、会わなきゃ。伝えなきゃ。
もうだめ、我慢できない。
シロ不足、限界よ。
ハァハァと息を切らして、校内を走り回る。
白雪姫の格好をしているから、また色んなひとの視線を受けたけど。
そんなの気にならないくらい、私は夢中だった。
ただただ、シロのことを考えていた。
「……っ、」
……見つからない。
ほんと、どこうろついてんのよ。
お姫様をこんなに走らせるなんて、王子失格だわ。