モノクロ*メランコリック
私は渡されたマイクをぎゅっと握りしめると、言う。
「…迷子の、愛犬に!」
私の口が、大きく開いた。
*
-真白side-
…そろそろ、劇の片付けが終わる頃かな。
そう思っていると、『その人』は案外早く校舎裏へ来た。
「…え、進藤…真白…?」
王子姿で校舎の壁に寄りかかって待っている俺を見るなり、笹原は眉を寄せる。
…たぶん、女子からの呼び出しだとでも思ったんだろう。
こんな文化祭の真っ只中で、告白するような暇のある奴は、恐らくいない。
「え、俺、場所間違えた…?」
「間違えてないよ。合ってる」
そう言うと、笹原は今度こそ意味がわからないという顔をした。
「お、俺を呼び出したの、進藤…?」
「うん」
「はぁ?なんの用だよ」
脱力したように、笹原は一気に肩を下げる。