モノクロ*メランコリック
俺はじっと笹原を見つめると、「単刀直入に言うと」と言った。
「美愛子に近づくの、やめて」
………シーン。
ポカンとした笹原が、目を丸くして俺を見てくる。
…まあそりゃ、驚くだろうな。
当たり前だ。
俺は学校で美愛子のことを、『姫宮さん』と呼んでいる。
「…え…お前今、『美愛子』っつった…?」
「言った」
「…俺が知ってる『美愛子』は、姫宮美愛子だけなんだけど…?」
「合ってる」
一切表情を崩さずに言うと、笹原は目を見開いた。まだ混乱してるみたいだ。
「…え…ちょ、待てよ。え?ミアちゃんとお前、どういう関係?」
「そこまでは言えない。けど少なくとも、君よりは仲が良い」
「なんだよそれ。近づくのやめろとか、お前にいう権利ねえだろ」
「俺じゃない。美愛子が困ってるから、言ってるだけだよ」
…あー、ダメだ。
これじゃ平行線だ。