モノクロ*メランコリック


「…以上です。ありがとうございました」


私を気遣うような顔をする、司会者の先輩に、マイクを返す。

中庭中に、人々の拍手が響き渡った。


「感動した!」

「早くシロくん、見つかるといいね!」

「元気出して、ミアちゃん!」


…うう。

シロにさえ伝われば、いいと思ってたのに。


私は恥ずかしくなってきて、逃げるように中庭を出た。






-真白side-


…そういえば、中庭でなんかしてたっけ。

告白してみませんか、みたいなやつ。


美愛子の、『迷子の愛犬へ』の告白は、どうやら終わったみたいだ。


…『絶対幸せにする』なんて、美愛子らしいなと思った。



「…い、今の、ミアちゃん…?シロって、犬かなんかか」


美愛子の話を聞いていた笹原が、目の前で苦笑いを浮かべる。


「たぶんね。…その犬のこと、相当好きなんだろうね」


そう言って、俺は笑う。



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