モノクロ*メランコリック


私は一度だけ涙を拭うと、また彼を見つめた。

シロはそんな私の存在に気づいたのか、ふと目が合う。

そして彼は、優しく笑った。



「…好きです。俺と、付き合って下さい」



…もう、もう。

充分よ、シロ。


前の方から、女子達が悲鳴を上げる。

奥で男子達が冷やかし、観客はまたどよめく。


シロは「ありがとうございました」と頭を下げると、舞台袖へ戻っていった。



「……ミア」

うつむいて涙をこらえる私に、隣でりさが小さく言う。


「…我慢なさい。ここで泣いたら、バレるわよ」


わかってる。

けどもう、どうしようもないじゃない。

なんなのよ、シロ。

嬉しすぎて、また泣いちゃうじゃない。


「…っ、うぅ」

「ハイハイ、さっさと出ましょ」

「…りさ、ケータイ貸して」

「なんで?」

「私、教室に置いてきちゃった。メール打ちたいの。シロに」


だってこの衣装、ポケットとかないし。



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