モノクロ*メランコリック

王子様の腕のなかで




私がシロに連絡したのは、校舎の中でも人通りの少ない三階。


文化祭でも使われていない、空き教室だった。


三階の廊下に誰もいないことを確認すると、息を切らしながらそろりと教室へ入る。

扉を閉めるとすぐに立ち止まって、息を整えた。


…シロが、来てくれる。

なんて言おう、何を言おう。


色々と考えたいことがあったのに、三分と待たずに教室の扉は勢いよく開けられた。


ええっ、早くない!?


驚いて、振り返る。

そこには、息を切らしてこちらを見つめる、シロがいて。


「……し、」


ーーガチャン。

扉に鍵が閉められる音がして、すぐに彼の手が伸びてくる。



彼の名前を呼ぶより早く、私は強く強く抱きしめられた。



「…シ、ロ」

「……っ」


まだ、衣装も着替えてない。

耳元で聞こえる息遣いで、彼がすごく急いで来てくれたんだとわかる。


…シロ、シロ、シロ。


腰に回された、彼の腕。

その暖かさを感じれば感じるほど、涙があふれた。



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