モノクロ*メランコリック


「うっ、…わあぁぁん…シロぉ…」

「…ごめん。…ほんと、ごめん」

「もういい、来てくれたから、いい」


そう言うと、シロはまた一層強く、私を掻き抱く。

小さな私の身体は、背の高い彼の腕の中にすっぽりと収まった。


ああ、安心する。

大切な、大切なぬくもり。

幼い頃から、この暖かさに支えられてきた。


…シロ。


もう、離れないで。



「……美愛子」


耳元で、彼が囁く。

その声はいつもの彼より余裕がなくて、ドキリとした。



「…さっきの返事、聞かせて?」



…さっきの。

ああ、あれね。


『俺と付き合って下さい』ってやつね。


わかってるくせに、聞きたがる。

意地悪なひとだわ、ほんと。



< 346 / 361 >

この作品をシェア

pagetop