モノクロ*メランコリック


『ミアちゃーん!シロくんは見つかったの?』

と、よく尋ねられるから。


とりあえず『見つかったよー、ありがとう!』

と返してる。


うちのシロは、なかなか私に従順とは言えないけれど?


昨日の朝だって、『朝ご飯を作って』とねだってみたら、『面倒くさい』の一言で返されたわ。

なんて使えない犬なの!


シロのファンの女の子達は、しばらく葬式のような空気だった。


シロ本人は、澤野くん達にからかわれ、『彼女の写真見せろ』とか言われてるみたいだけど。

見せたら殴るわよと言ってる。

ファンの子たちが私を暗殺しにくるかもしれないわ。怖すぎて夜も寝られないわよ。たぶん寝るけど。

ちなみに、劇の優秀賞は私のクラスがもらったわ。

まぁ、当然よね?私の演じる白雪姫は、天使を通り越して女神さながらだったと聞いたわ。たぶん。誰か言ってた。たぶん。脚色は入ってないわよ!!

文化祭の打ち上げは、もちろん焼き肉屋で。

私は目の前の美味しそうな焼き肉を前に涙を流しそうになりながら、ひたすらカルピスを飲んでいた。

合間にこっそりコーラも飲んだけど。いいじゃないそのくらい。

クラスのみんなが楽しそうだったから、充分満足したのだけれどね。



そんなこんなで、文化祭から二週間が経った、日曜日。


私は電車で三十分ほど揺られたあと、街中の地下道の入り口付近で、ひとを待っていた。


…やばいわ。足が震えそう。


ふっ、やだわ。別に緊張なんてしてないわよ。今更何を言うの。



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