モノクロ*メランコリック
ますます不機嫌になっていると、近くから目当ての人間が歩いて来るのが見えた。おっそい!
「ちょっと、シロ!」
一言言ってやろうと思い叫ぶけれど、彼氏であるシロは何故かお腹を抱えて静かに笑っている。
「…なに笑ってるの?反省する気あるの?おかげでナンパされたのだけど?」
「…うん。見てたよ」
見てた!?ハァァァ!?
「どういうこと!?見てたんなら助けなさいよ!」
「いや、明らかに俺の出番なかったじゃん」
「あったわよ超あったわよ!おかげで私は女子としての何かを失ったわ!!」
大切な何かよ。どうしてくれるの!?
シロは「あー面白い」と目尻の涙を拭ってから、私の手を掴んだ。
そして、当然のように恋人繋ぎをする。
お得意のまっしろスマイルで、私の顔を覗き込んだ。
「ごめんって。お詫びに何かおごってあげるから」
「本当?じゃあアイス…って!誤魔化してんじゃないわよ!!」
またシロは笑い出した。
ああもう、なんなのよ。
ムカつく、ムカつくけど私服かっこいいわ。とりあえず眼福だから許してあげる。