モノクロ*メランコリック
けれど、私がお姫様な私を自覚しているということは、絶対秘密なの。
知っているのは、この、今も白い目でこちらを見てくる幼馴染のりさと、もうひとりだけ。
『お姫様』の私は純粋で、天然で、謙虚で。
当然、自分の可愛さを自覚なんてしていないのよ。
「まさか、学校のお姫様がこんな猫かぶりなんて、誰が思うんでしょうね」
お昼休み、屋上でりさとお弁当を食べる。
私はりさが零したその言葉に、小声で「ちょっと」と言った。
「声が大きいわよ。誰かが聞いてたらどうするの?」
「誰も聞いてないわよ。自意識過剰なんじゃない?」
「じっ、自意識過剰は、今関係ないでしょう!?もし、もしよ。みんなのお姫様の『ミアちゃん』が、猫かぶりだなんて知れたら…」
「自意識過剰は否定しないのね。てか、あんたのほうが声デカイっつの」
ハッとして、慌てて口をつぐむ。
ダメね、可愛い女の子は、こんな風に声を荒らげたりしないものね。
私はむっとした顔で、「とにかく」と言った。