モノクロ*メランコリック
「いい?りさ。油断は禁物なのよ。この世に絶対なんて存在しないの」
「はいはい」
いまいち危機感のない彼女をじいっと見つめたところで、近くから男子の大きな笑い声が聞こえた。
見ると、フェンスにもたれかかって男子の集団が話している。学年の中でも、目立つグループだ。
けれど私の目は自然と、主に大きな声で笑っている男子たちよりも、その横にいる大人しそうな男子に向いてしまう。
ひとりだけ明らかにタイプは違うのに、その集団の中で彼の存在は馴染んで見えた。
他の男子と一緒に、大きくこそないものの、楽しそうに笑っている。
屋上でお弁当を食べている女子達の視線が、そのグループに集まっていた。
そしてその大半は、優しげに笑う彼へ向いている。
「……進藤くん、ほんとかっこいい…」
私たちの近くにいた女子が、そう呟いた。
彼女が熱視線を送る、その男子。
ゆるくセットされただけのブラウンの髪と、整った顔立ち。
ちゃらちゃらしてないけれど格好良くて、でも目立つグループにいて。
浮いているわけではないけれど、他の男子とは少し違う。