モノクロ*メランコリック


おっとりな性格に加え、優しくて爽やか。男女問わず人気がある。

そんな彼、進藤真白は名前にちなんで、女子達から『白馬の王子様』と呼ばれていた。


『お姫様』と『王子様』。学年の人気を二分する私と彼は、意外にも交流、接点ともに一切ない。



…ただし、学校内では。



『お姫様』の皮を被った黒猫の秘密を知る幼馴染の、もうひとり。

この世で唯一、私を『美愛子』と呼ぶことを許されたひと。


それが進藤真白、だったりする。






学校から自宅へ帰り、私は家に鞄を置いて早々に、再び外へ出た。


向かうのは、隣の家。


生まれてからもう幾度となく、そりゃもう見飽きるほどに目にしてきた、馴染み深い建物だ。

扉の前につけられたインターホンを見ることなく、私は慣れた手つきで合鍵を使い、勢い良く扉を開けた。



「シローー!ホットケーキ作ってー!」



そんな大声とともに、玄関に足を踏み入れるのも、もう何度目かしら。

私が呼んだその人物は、意外にもすぐ近くにいた。


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