モノクロ*メランコリック
おっとりな性格に加え、優しくて爽やか。男女問わず人気がある。
そんな彼、進藤真白は名前にちなんで、女子達から『白馬の王子様』と呼ばれていた。
『お姫様』と『王子様』。学年の人気を二分する私と彼は、意外にも交流、接点ともに一切ない。
…ただし、学校内では。
『お姫様』の皮を被った黒猫の秘密を知る幼馴染の、もうひとり。
この世で唯一、私を『美愛子』と呼ぶことを許されたひと。
それが進藤真白、だったりする。
*
学校から自宅へ帰り、私は家に鞄を置いて早々に、再び外へ出た。
向かうのは、隣の家。
生まれてからもう幾度となく、そりゃもう見飽きるほどに目にしてきた、馴染み深い建物だ。
扉の前につけられたインターホンを見ることなく、私は慣れた手つきで合鍵を使い、勢い良く扉を開けた。
「シローー!ホットケーキ作ってー!」
そんな大声とともに、玄関に足を踏み入れるのも、もう何度目かしら。
私が呼んだその人物は、意外にもすぐ近くにいた。