モノクロ*メランコリック
ヒロインになれなくても
翌朝、金曜日。
昨日の夜、シロが帰ったあとにりさへメールをしておいた私は、家を出ると向かいの家へ歩いた。
久しぶりに、りさと一緒に登校する。
彼女は眠そうな顔をして、家を出てきた。
「…で、どうしたのよ。いきなり一緒に登校したい、なんて」
りさはいつも遅刻ギリギリに登校して来るタイプだから、普段は一緒に行かないのだけれど。
昨日のことを愚痴ろうと思い、一緒に登校しようと言ったのだ。
「……ちょっと、昨日、ね」
りさの家の前で、目をそらしながらそう言うと、彼女はため息でもつきそうな顔をした。
「…また真白?」
「……………」
「本当に最近、色々あるわねえ。進展してんのか後退してんのかわかんないけど」
どちらかというと後退してるわね!!
そう叫びそうになって、私の家の隣の玄関が開いたのに気づき、慌てて口を塞ぐ。
「あら。おはよう、真白」
りさがそちらへ向かって、いつも通り手を振る。
けれど私は、振り返らなかった。
後ろから、シロの声がする。
「おはよ」
「…………」
「…ミア?」
シロに何も言わない私に、りさは眉を寄せた。
彼女はシロの方を見て、ますます怪訝な顔をする。
やがてシロが登校していくと、りさは再びこちらへ視線を向けた。