ぶるー。
「是永もダイエット?」
口を尖らせた藍が彼に聞く。
彼の名前は是永秀といって、とにかく人懐っこいサッカー部のエース。
良く葵達に突っかかってくる。


「お前らじゃねーんだから、しねぇし~」
「何その言い方!!」
藍と是永がぎゃーぎゃーと騒いでいる中、あたしは窓から外を見た。
雲ひとつない綺麗な青い空…。
千菜と祐樹に見せようと思って、写メをとった。
是永はあたしの携帯をひょいととると、思わず”おー”と声を漏らした。

「何だ、変なのじゃないんだ」
「あんたじゃあるまいし…」
「何だとぉ!!」
今度はあたしが秀と言い合っていると、藍を呼ぶ声が聞こえた。
あたしはチラリとその先に目を向ける。
藍に話しかける、赤茶の髪の、綺麗な顔。
彼は溝端凪という名前で、ひとつ上の先輩。
藍と付き合って、もう11ヶ月になる。
2人は本当にお似合いで、美男美女カップルって感じ…。
ちくりと痛む心を抑えながら、あたしは目線を是永に戻した。
彼は2人を見ながら、ニヤニヤ笑っている。

「西園いいなあ。しかも年上とか…やるな!!」
「結構長いのに、まだラブラブだしね」
「葵~っ」
藍がきらきら輝いた顔で帰ってきた。

「あんまりイチャイチャしてんじゃねーよー」
是永の勢いを清清しくスルーすると、藍は赤い顔で話し出した。
「今週の土曜日…デート行くことになった♪」
「え!!そうなの!?良かったね!!」
11ヶ月付き合ってる割にはまだ凪先輩と遊びに行ったことがなかったから、はじめてのデートということらしい。
藍、本当に幸せなんだろうな。
そう思って悔しくなる自分が嫌。
< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop