表現する気持ち
10日間の謹慎処分が開けて学校へ行くと、彼女に近付く人はいなかった。

遠巻きに彼女を見ては、ヒソヒソと話をしている。

だが彼女はそのことに、怒りを感じなかった。

あの日、あの時感じた戸惑いから、未だ抜け出さずにいた。

クラスメートを押した時、さして力なんて入れていなかった。

なのにクラスメートの体は吹っ飛び、ガラス窓を突き破ったのだ。

そんなこと、大人の男性でも難しい。

そこまでの力が自分にあるとは思えなかった。

しかしコレは現実。

つまり自分は元気を通り越して、力が有り余っている状態になっているのか。

彼女は制服の上からネックレスを掴んだ。

赤い石は、クリスタルより二回り小さいぐらいになった。

最初はそれこそクリスタルの10分の1ぐらいの大きさだったが、今ではここまで大きくなっていた。

この赤い石の成長と、自分の力は無関係なのだろうか?

今頃になって、このネックレスの不気味さを感じてきた。

確かあの店の青年は言わなかったか?

『感情はコントロールしてください。くれぐれも、あまり昂らせないよう、お気をつけてください』

…と。

すなわち、自分の感情の昂りが、このネックレスを通して発揮されるということだろうか?
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