表現する気持ち
「お客様のご要望でしたからね」

「でもあのネックレスの真の力、説明しなくても良かったの?」

紅一点のマリーは壁に寄り掛かり、ネックレスがあった棚に視線を向けた。

「あのネックレスの正体を話したところで、彼女は信じないでしょう。黙ってあげた方が、効果が出た時、喜ぶでしょう」

「でもそれじゃあマカに怒られるんじゃないの~?」

マリーはニヤッと笑う。

ハズミもニヤニヤ笑う。

「そうそう。あのネックレス、いかにもマカが嫌いそうな効果を発揮するからな」

「ですが警告はしましたよ? 後は彼女次第ですよ」

店主・ソウマも笑みを浮かべる。

しかしその笑みの意味は、決して良いものではない。

それを悟り、マミヤは深く息を吐いた。
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