シーサイドブルー
「それで?」


温かい眼差しが降ってくるのを感じながら、涙を抑えて口を開く。


「でも辛くても…好きなものはやっぱり好きだし、やりたいことはやりたいって思ったままで。
だから本とかたくさん読んだ。英語も一生懸命勉強した。
…だから、なのかな。いつの間にかクラスで浮いてた。」


変だと言われた。何を考えているか分からないとも。
挙句の果てに…


「キモい、だって。私のこと。」


別にそんなことは言われようが言われまいが気にならない。
ただ、突き刺さったのは


「大多数に理解されないようなことをするっていうのは、こんなにも私の声そのものが無視されることなんだって、思った。
無視とかいうのとも違うのかもしれない。
言うことさえ許されない。
私が好きなことを好きと言うだけで、やりたいことをやりたいと言うだけで親は不機嫌になって、同級生は離れていって。」


理解されたいわけじゃない。
許されなきゃ何も言えないわけでもない。
それでも…


「私の言葉は死んでいった。
私の感覚も、想いも、どこにも辿り着かないなら生きてたって意味ないって思った。」


届かぬ想いを抱えて生きることは生きることではない。
私はそう、思うから。


「届かない言葉を抱えていても苦しくて辛くて。
だから終わらせたかった。」


自由に生きたかった。
ただ、それだけを願っていた。

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