シーサイドブルー
「私の話、ちゃんと聞いてくれてありがとう。
…話聞いてくれるところも、好き。」

「…ありがと。
ありがとうってちゃんと言えるとこ、好き。」

「なにこの好きって言い合い…。」

「好きなものを好きって言えるの、結構大事だって。
好きって言われなきゃ好きになれないもんなんだから。」

「そうかもしれないけど…。」


ザザン…と波が一際大きく鳴った。
夕日が傾きかけている。


「さすがに夜の海は少し寒くなるよ?
そろそろ戻ろっか。」

「…うん。」


すっと差し出された手。
物理的には決して重なることはないけれど、私はその手に自分の手を重ねた。


「あー…生きてたらなぁ…。」


…もし、彼が生きていたのなら。
彼の手の温もりを感じることはできたのだろうか?
そんなことを考えた。


「でも、ありがとう。ちょっと普通に嬉しかった。」

「…どういたしまして。」


なんだか妙に頬が熱い。
…照れ、くさい。

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