シーサイドブルー
ざぁっと強い風が吹く。


風が頬に触れた。
…本当に、〝触れた〟










「海風(ミカゼ)…。」



「え…?」




確かに、そう呼ばれた。
ここには誰もいないのに。



「俺の声、聞こえるの?」


聞こえる。でも…


「あなた…誰なの?」


焦点は定まらない。
音源は分かる。でも見えない。


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