シーサイドブルー
「はぁー…1個念願叶った…。」

「なっ…なにそれ?」

「前に言ったじゃん。こうしたかったって。忘れちゃった?」

「…忘れるはずない。」

「俺も。忘れるはずないよ。」


彼は撫でるのを止めない。
いい加減髪の毛がくしゃくしゃになってきた。


「全部ちゃんと説明するよ。
…涙が止まったらね。」

「と、止める!」

「いいよ。時間はまだまだあるんだからゆっくりで。」


不思議な感覚だった。
初めて彼にこうされるのに、なんだかもうずっと知っていた手みたいだ。


「…少し落ち着いた?」

「…多分。」

「そっか。じゃあ何でも答えるよ。
訊きたいこと、いっぱいあるだろう?」


私は頷いた。
訊きたいことだらけだ。


「ちゃんとはぐらかさず答えてくれる?」

「もちろん。」

「…どうして生きてるの?」

「いきなり直球。でもそういうとこ、変わんないね。」

「答えてよ。」

「答えるって。どうして生きてたかって、まぁ奇跡だよね。
俺、死んでなかったんだよ元々。」


あまりにもさらっと言われた言葉。
元々生きていたって…


「どういう意味…?」

「死んだと思ってただけで死んでなかった。植物状態ってやつだったんだ。」

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