シーサイドブルー
「ははっ…そっか。声しか聞こえないわけだ。
…ま、それでも進歩って言えるかもしれないけど。」


やけに明るい声が返ってくる。
質問には答えてもらっていない。


「…あなたは誰?」

「俺?俺はユーレイ。」

「…幽霊?バカにしてるの?」

「バカになんかしてないよ。だってそう言うしかないだろう?
実際君には見えていないわけだし。声しか聞こえてない。違う?」

「その通りよ。」

「だったら幽霊って言った方が納得いくんじゃない?」

「…そんなものを信じる年齢でもないんだけど。」

「でも、本当に俺はいわゆる幽霊に近い状態だよ。
君みたいな身体はないわけだし。
俺の声をキャッチしてくれたのは君が初めてだ。」

「え…?」


言っていることはかなり破綻しているのに、声は異常に明るい。
それに、不思議なことばかりだ。
だってこの人…





「…ねぇ。」

「なにかな?」

「どうして私の名前、知ってるの?」



声のした方を見つめる。
すると、なんだかぼんやりとその輪郭が見えてきた。



「え…。」

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