シーサイドブルー
「植物…状態…?」

「そう。意識不明。生死の狭間にいたわけ。だから俺、中途半端な存在だったんだと思う。
…あ、これ全部憶測の域出ないからね?
ユーレイになるとか非科学的現象だし。」

「…そうだけど。じゃああの日のいつ、身体に戻ったの?」


少し間をおいてから彼が口を開いた。


「君の寝顔見てたらいつの間にか。」

「…ふざけてる?」

「本当だって。嘘吐いてどうすんのさ?」

「だってそんなの!」

「信じられないよね。ま、俺もそんな感じ。
目覚めた時、本当にぼーっとしててさ。
どこからが夢でどこからが現実だったのか全然分からなくて。」


彼はそう言いながら空(クウ)を掴んだ。


「こんな風にちゃんと動けるようになったの、結構最近なんだよ。
…だからここにも来れなかった。
言い訳がましくて情けないけど、本当のことだし。
遅くなってごめんね。ここに君が居てくれて、それがただ素直に嬉しい。」


1年前と変わらない笑顔がここにある。
…いや、変わってないこともない。
今の彼は透けてなどいない。


「ありがとう。…待っていてくれて。
…って俺の勘違いだったりする?」


おどけた表情も変わらない。


「待ってた。会えるのを。」


あまりにも素直に言葉が出てきた。
自分の口から出てきた言葉に自分が驚く。
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