シーサイドブルー
「俺も。会いたかった。」


目が合えば、優しく微笑まれる。
1年前のあの日に戻ったかのように自然に流れる時間が心地良い。
まるであなたのいない1年がなかったかのような気持ちになる。


「…あのさ、抱き締めても、いい?」

「え?」


突然言われた言葉を飲み込めない。


「…はは。やっぱりそんな顔するんだね。」

「ごめ…でも意味が…。」

「別にやらしーことは何もしないから。
再会のハグだと思ってよ。」

「…よく分かんないけど、私どうすれば…。」

「そのまま、大人しくしてて。」

「え…。」


大きな手が腕を引いた。
そのままぽすっとその胸に抱かれる。


「はぁ…やっと会えた。元気だった?」


背中に回った手がきゅっと身体全体をその胸へと押しつける。
彼の心音を直に聞きながら、彼の問いに答えた。


「元気だったよ。…思ってたよりも身体、がっちりしてるんだね。」

「え、あ、俺のこと?そりゃあね。
だから戻って来たんだよ。」


〝戻って来た〟
些細な言葉だけれど、戻りたいと思ってくれたことが単純に嬉しい。

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