シーサイドブルー
お喋りな口は止まることを知らない。


「それより海風は…家に帰らなくていいの?」

「…構わない。」

「ここで寝るの?夏だけど夜通し外は身体を冷やしちゃうよ?」

「身体を冷やしたら、消えることは可能かしら?」


私がそう言うと彼の顔から笑顔が消えた。
ただ真っすぐに私を見つめ、言葉を選んでいる。
そしてしばらくの沈黙の後に彼は口を開けた。


「この世から、って解釈で合っているのかな?」


私は頷く。彼の解釈は間違っていない。


「そっか。だから君には声が届いて、その上俺の姿も見えたのかもしれないね。」

「…それはどういうこと?」

「…俺は死神って言ったら信じる?」

「信じない。」

「うわ、即答!」


少しだけ笑みを浮かべてそう言う彼。
…死神?そんなものはいない。


「まぁ死神じゃないんだけど。
でも、もし本当にそう思ってるなら止めたい…な。」


ぽつりと、零すように彼はそう言った。


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