シーサイドブルー
2.止めたのは君のためじゃない
* * *
私に終わりを与えるためにあの海に行ったのに、私はつくづく運が悪いらしい。
再び目を覚ましてしまった。
「…っ!」
「お目覚めかな?ねぼすけオヒメサマ。」
くすっと軽く微笑むその顔が、横になっている私の真横にある。
「ちっ…近いんだけど!」
「なーんもしてないよ?」
「あ、当たり前でしょ!?」
「ん。だって俺、君に触れないしね。何かしたくても話すくらいしか…できない。」
小さな間が妙にひっかかる。
でも、気にしないことにして話を振った。
「あなたのせいで、終わりにできなかったわ。」
終わらせたかった。7月の海で。
存在していたことも、想いも全て、海に溶かしてしまうつもりだった。
それなのに…穏やかな微笑みと言葉にどこか引き留められてしまった。
彼は私の言葉を受け取ると、少し真面目な表情で口を開いた。
「あなた、じゃないよ。
そういえば名乗ってなかったね。
俺は凪だよ。新見凪(ニイミナギ)」
ナギ、という音が上手く漢字に変換されない私の視線は少し上向く。
それをみたナギは
「風って漢字の中、止めるって書くんだよ。」
と言って笑った。
私に終わりを与えるためにあの海に行ったのに、私はつくづく運が悪いらしい。
再び目を覚ましてしまった。
「…っ!」
「お目覚めかな?ねぼすけオヒメサマ。」
くすっと軽く微笑むその顔が、横になっている私の真横にある。
「ちっ…近いんだけど!」
「なーんもしてないよ?」
「あ、当たり前でしょ!?」
「ん。だって俺、君に触れないしね。何かしたくても話すくらいしか…できない。」
小さな間が妙にひっかかる。
でも、気にしないことにして話を振った。
「あなたのせいで、終わりにできなかったわ。」
終わらせたかった。7月の海で。
存在していたことも、想いも全て、海に溶かしてしまうつもりだった。
それなのに…穏やかな微笑みと言葉にどこか引き留められてしまった。
彼は私の言葉を受け取ると、少し真面目な表情で口を開いた。
「あなた、じゃないよ。
そういえば名乗ってなかったね。
俺は凪だよ。新見凪(ニイミナギ)」
ナギ、という音が上手く漢字に変換されない私の視線は少し上向く。
それをみたナギは
「風って漢字の中、止めるって書くんだよ。」
と言って笑った。