海坊主
2
9月
海里に助けられて、1ヶ月。
洋服は袖は、まだ半そででも大丈夫な9月の第1週。
この頃から、あたしの携帯には“お母さん”からのメールが届く。
電話も、最近増えた。
この日の明け方も、メールが来た。
『いい加減、帰ってきなさい』
うざい。
血が繋がってるはずなのに、なんで心から嫌いって思えるんだろう。
「めぐー?怖い顔して、どうした」
「ううん、なんでもない」
海里は、知らない。
メールの事も、電話の事も。
知らないでいい。
知ったら、海里は、帰れって言う。
「なんでもない」
「そっか」
海里は、いつもそれ以上言わない。
嬉しいし、それでいい。