海坊主
地元
1ヶ月ぶりの自宅。
でも、あと少しで実家になるんだろうな。
「愛流!」
「お母さん・・・」
お母さんは、玄関とか関係無に、あたしを強く強く、抱きしめた。
1ヶ月ぶりに見るお母さんは、少し痩せてた。
「ごめんね、お母さん」
これから、もっと酷いことをお母さんに言っちゃうから。
「あたし、居場所が見つかった」
「めぐ・・・?」
海里の“めぐ”とは違う。
「今日、帰ってきたのはね・・・さよならするため」
お母さんの顔の色が、変わった。
「この後、お店と高校に言って来る」
「愛流?お母さん、ちゃんとするから!!だから・・・」
行かないで。
そう言いながら、崩れたお母さん。
「お母さん。16年間、育ててくれてありがとう」
お母さんの涙が増えていくのが、分かった。
「出産、痛いんでしょ?シングルマザーで、大変だったよね?お父さんいなくても、寂しくなんてなかったから。・・・ごめんね」