海坊主
増えていくお母さんの涙。
泣かないでって、言えたらいいな。
でも、泣かせてるあたしが、泣かないで?なんて、言えない。
「愛流・・・出かけない?」
「えっ」
「今まで、一緒で出かけてことなんてなでしょ?」
お母さんなりの、さよならなのだと悟った。
「うん。あたしが、お店と高校に行ってる間に、ちゃんとしてて?」
心のどこかで、お母さんを深く嫌っていた。
それはきっと、イメージに過ぎなかった。
あたしのお母さんは、ちゃんとあたしを心配する。
そんな優しい、お母さんなのだ。
海里に言ったら、会いたいって言いそう。
もし、あたしが本当に幸せになったら、会いに来たい。
海里と、2人で。
「ミキちゃん!」
お店での、源氏名ってとこだ。
「すみません!あたし、謝らなきゃいけない事、沢山あります!」
「ミキ、ちゃん?」
「あたし、20歳なんかじゃありません!本当は、16歳なんです。高校にも、行ってます」
店長の顔は、真っ青だった。
「お金がほしくて・・・でも、辞めます」