海坊主
3
空虚
海里と出逢った、あたしの居場所の町についても、涙が止まらなかった。
愛流なんて名前、漢字も恥ずかしいし、読み間違い多いし、嫌だった。
でも、由来を聞いて、嬉しくなった。
「海里、いる?」
部屋は真っ暗で、海里は帰ってきてない様子だった。
「海里・・・ん?」
白いダイニングテーブルに、紙が置いてあるのを見つけた。
≪めぐへ
俺は家の事情で、当分帰れません。
ごめんな?
めぐ、お母さんと仲直り出来た?出来たなら、いつかめぐとお母さんに会いに行きたいと思ってます。
いつ帰れるか、分かんない。
でも、待ってて。
必ず、めぐのいる所に帰るから。
俺の居場所は、めぐだから
海里≫
「海里のバカ!」
“俺の居場所は、めぐだから”
「そうなら、早く帰ってきてよ・・・」
海里、海里、海里、海里・・・。
幾度も名前を呼んでも、返事は返ってこない。
「いつもみたいに、“どーした、めぐ”って、答えてよ・・・」
あたしの心に、ぽっかり、大きい穴が空いた。