海坊主
「あ、めぐるちゃん」
帰りの駅で、和紀さんに会った。
「元気そうだね」
「和紀さんの、お蔭です」
「買い物?持つ?」
「いえ、大丈夫です」
「遠慮せずにー」
和紀さんは、生活雑貨などが入った重い方を奪った。
「ありがとうございます」
和紀さんは、海里のマンションのある町の1駅向こうらしい。
「心機一転って感じ?」
「あ、はい。思えば、あたしの部屋って何にも無いんです」
「へぇ~。で、なんで“青”なの?」
「海の色だから。水色でも、いいかなぁ~って思ったけど、夜の海って青かな~って思って」
「ふぅ~ん。なんか、センスいいね」
洋服のセンス抜群の和紀さんに言われると、ちょっと嫌味くさい。
「つか、タメでいいよ?なんか、敬語って堅苦しいから」
「じゃ、タメで」
海里もいい人だけど、和紀さんもいい人だ。