海坊主
18歳、秋
海坊主
「いってきます」
2年が経った。
いや、今10月だから、2年1ヶ月が経った。
あたしは、見た目を変えた。
髪をショートにした。
茶髪を、ダークブラウンに変えた。
バイトを始めた。
海里の通っていた大学のある町にある、カフェ。
自給も良いし、暇人のあたしは、ほぼ毎日シフトが入ってる。
「やっほ~、めぐるちゃん」
「和紀さん」
時々、彼女を連れて来店する。
彼女さんは、真面目な人だった。
「愛流、さんでしたよね?本当、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫ですよ。和紀さん、常連だし。あと、敬語はやめて下さい」
4歳も下の小娘に、敬語を使う彼女さん。
2人は、カウンター席に移動して、いつもの注文をした。
「海里、帰ってこないなー」
「ですねー」
「心配じゃねーの?」
「海里は、帰ってくるよ」
うん。絶対、海里は帰ってくる。
「愛流ちゃん、カッコいいね」
「どーも。和紀さんも、朱里さんを見習ってください」