海坊主
呼吸を整えるため、しゃがんでいた身体を起こし、部屋に向かう。
長い長い、部屋までの道に見えた、人影。
反射的に、あたしは走っていた。
端っこにある、部屋の前に立っている人影。
あたしのカラダが、言ってるんだ・・・!
『あれは、海里だ』って。
「海里ッ・・・!」
鳩に豆鉄砲の顔の海里に、抱きついた。
「ばかいり!」
泣きじゃくった。
突然居なくなった怒りや、和紀さんに伝言頼んだことや、色々。
「“バカ”と“海里”を、つなげんな!」
海里は、変わってない。
声も、2年前のまんまだ。
「海里、少し白くなった?」
黒い肌が目立っていた海里。
ちょっと、白く(というか、普通の人の肌に近く)なっていた。
「あんま外に出れなかったからな~。なあ、入っていい?」
自分の部屋なのに、入っていいなんて聞くなんて、おかしい。
「入ろう」