海坊主
「これから、めぐとずっと一緒」
「海里、聞いて」
「何?」
「あたし、髪切ったの。過去を、髪と一緒に切り捨てたくて。でも、過去もあっていいんだと思うの。じゃなかったら、海里と出逢えなかった。
バイトも、始めたの。海里や、和紀さんの大学の近くのカフェ。沢山の人と、かかわりを持てるようになった。
2年前・・・お母さんに会った。あたしが、その時よりも幸せになったら、また会うって約束した。
お店の店長にも、幸せになれって応援してもらった。
高校にも行った。名前もわかんないクラスメートに“また会える?”って言われた。すっごい、嬉しかった」
全部、伝えた。
泣きながらだったから、もしかしたら、何言ってるか、分からなかったかもしれない。
それでも知って欲しくて、海里に知って欲しくて。
「めぐ、幸せ?」
「うん・・・」
「じゃ、今度行こうか。めぐの地元。お母さんの所」
「うん、2人で行こう」
海里は、もっと強く抱きしめてくれた。
痛かったけど、嬉しかった。
「俺、よわっちーから。めぐに支えて欲しい。だから、めぐも俺を頼って?」
海里には、敵わない。
「明日、バイト無いの・・・デートしたい」
あたしの必死な、お願い。
「もちろん!どこ行く?車ないけど、電車ならあるし・・・」
気が早い海里も、あたしには愛おしい。