白いツバサ
首飾りは、太陽の光を浴びてキラリと輝く。


「わぁ……綺麗」


思わず少女の口から、感嘆の溜め息が漏れた。


「母さんが、亡くなる前にくれたんだ」

「お母様が……」

「うん……結婚前に父さんからもらった、幸せの御守りなんだって」


目の高さにまで上げて振ると、それは金管楽器のような澄んだ音色を奏でた。


「でも……もっといいもの残して欲しかったなぁ」


その口から、軽い溜め息が漏れる。


「これじゃ、何の足しにもならないよ」


そんな少年に、少女はそっと下唇を噛み締めた。


「……って、僕は何で初めて会った人にこんな話をしてるんだ?」


不意に、我に返る少年。

少女のペースに乗せられたのか、ついつい口数が多くなっていたことに気付く。


「今の話、忘れて……」


笑いながら、少女に顔を向けた瞬間──

その目に、少年に向かって飛んでくる少女の姿が映った。


「えいっ!」

「てーーっ!?」


咄嗟のことに避けることが出来ない。

勢いのある体当たり。

直撃を受けて、少年は岩の上に倒れ込んだ。

少女は、すかさず馬乗りになる。


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