白いツバサ
☆第0章 修道院の雨
『セントポーリア修道院』
静かな雨が降り続く夜。
ただ雨音だけが響くこの夜に、人はそっと想いを馳せる。
それが、雨夜の月の様だとしても。
「雨……」
小さな部屋の中、揺り椅子に腰掛けた老婆のつぶやきが響く。
編みかけの手袋を手に、彼女は窓の外の雨景色を見つめていた。
全身を覆う、黒い修道服。
だが、その服の首周りは雪の様に白い。
そして、首から下げた十字架から、彼女が修道女であることがわかる。
頭にベールはかぶっておらず、長い白髪が流れる様に伸びていた。
ここは、セントポーリア修道院。
神に身を捧げた者が住まう場所だ。
その一室から、彼女は憂いを帯びた瞳で外を見つめていた。
「ふぅ……」
しばしの間、外を眺めていた彼女は、やがて短い溜め息と共にその視線を手元に戻す。
腰掛けていた揺り椅子が、小さく音を立てた。
「冬が来る前に終わらせないと……」
独り言を言いつつ、手袋を編む彼女。
その傍(かたわ)らには、すでに編み上がっている手袋が7組ある。
彼女は、一編み一編みに想いを込めているのだろう。
色も大きさも様々なその手袋は、どれも丁寧な作りだった。
ただ雨音だけが響くこの夜に、人はそっと想いを馳せる。
それが、雨夜の月の様だとしても。
「雨……」
小さな部屋の中、揺り椅子に腰掛けた老婆のつぶやきが響く。
編みかけの手袋を手に、彼女は窓の外の雨景色を見つめていた。
全身を覆う、黒い修道服。
だが、その服の首周りは雪の様に白い。
そして、首から下げた十字架から、彼女が修道女であることがわかる。
頭にベールはかぶっておらず、長い白髪が流れる様に伸びていた。
ここは、セントポーリア修道院。
神に身を捧げた者が住まう場所だ。
その一室から、彼女は憂いを帯びた瞳で外を見つめていた。
「ふぅ……」
しばしの間、外を眺めていた彼女は、やがて短い溜め息と共にその視線を手元に戻す。
腰掛けていた揺り椅子が、小さく音を立てた。
「冬が来る前に終わらせないと……」
独り言を言いつつ、手袋を編む彼女。
その傍(かたわ)らには、すでに編み上がっている手袋が7組ある。
彼女は、一編み一編みに想いを込めているのだろう。
色も大きさも様々なその手袋は、どれも丁寧な作りだった。