白いツバサ
「さぁ、見て行っておくれ!」
「ここに来たら、うちの店に来ないのは損よ!」
「ちょっと、他じゃ手に入らないものばかりだぜ!」
露天商たちの声が響き渡る繁華街。
勢いあるその呼び込みに、道を行く人々は足を止める。
ここは、アルメリア王国の首都フェンネル。
蒼く輝く海に隣接した、王国最大の都市だ。
その海がもたらす恵みは大きな富を生み、豊かな大地から採れる食材は人々を魅了する。
また、芸術の都としても有名で、腕利きの職人たちが様々な細工品を作り売っていた。
それゆえアルメリアは、小国ながらも他国から一目置かれた存在であった。