甘くて切なくて、愛おしくて
大きな声で呼ばれて咄嗟に佐野さんから離れる。
「沢城さん..」
「ユウキは?」
「今、点滴を打ってもらってます。それが終われば今日は帰ってもいいそうです」
「そうか、よかった」
安心したように沢城さんが椅子に座る。
「処置室にいますよ、ユウキくん」
「ありがとな」
「いえ、あたしは、何もしてないです..ただ必死で」
「必死にユウキをここまで連れてきてくれたんだろ?お前のおかげだ」
沢城さんのまっすぐな瞳がぶつかって、そしてそこからどくんどくんと心臓の音が速くなっていく。
「ありがとな」初めて感じる、この感覚。
でも分かる、これがきっと―――
「加賀見さん」