甘くて切なくて、愛おしくて
ここ1カ月、また一つ大きな仕事に取り掛かっていたあたし達は
ゆっくりランチをする時間も取れずに忙しく過ごしていた。
だから当然沢城さんと佐野さんの事も話せず..。
で、ずっとおかしかったあたしを気にしてこうして話をしに来てくれたんだと思う。
心配してくれてる..んだよね..きっと。
「何かあったんでしょ?」
少しだけ表情を緩めて窺うようにこちらを見る。
カランと氷のぶつかる音が聞こえた。
「何かって..」
“何か”と聞かれて思い当たる事は色々あるけれど、
それでも確かな確証はないし、沢城さんがあたしの事を明らかに避けるような理由は思いつかないし..
「特には何もないけれど..」
視線をわざと美香子から逸らして店内を見回す。
やはり土日は忙しいのか店員が忙しなく動いている。
どの席もお客さんがいっぱいで、カップルが楽しそうにお喋りしてたり、カップルが楽しそうにランチを食べていたり、カップルが...
駄目だ、これじゃあ、あたし相当おかしい人みたい。