甘くて切なくて、愛おしくて



「あ、あはは..すみません..何か入っていけなくて~」


「お前酔ってるな、顔赤いぞ?」


「そ、そんな事ないですよ、ちゃんとしっかりしてるつもり、です」


「つもり、だろ?酒臭いし。ったく年頃の女が一人で酒なんか飲むんじゃねぇよ」


「なっ!失礼なっ!あたしだって男の人とくらい飲みますよーだ!」


いーっと顔をしかめると急に沢城さんの顔つきが変わった。

ぐいっと腕を引っ張られ、前に進んでいた足が止まる。



「この前のあいつか」


「誰だっていいでしょ?沢城さんには関係な..」


急に掴まれた腕がひしひしと痛む。沢城さんの顔を見ようとするけれど、横を向かれていてうまく表情を伺う事が出来ない。


「い、痛いんですけど」


「悪ぃ」


さっと腕が放れると同時にまた胸が痛んだ。

< 174 / 268 >

この作品をシェア

pagetop