甘くて切なくて、愛おしくて
「そ、そういう自分だってさっきいい感じだったじゃないですか?」
「何がだよ」
「小林先生、でしたっけ?」
暗がりだからよくは見えなかったけれど、でも美人そうに見えた気がする。話し方も、接し方も。あたしとは違う、大人の女性だ。
「付き合っちゃうんですか?」
冗談のつもりだった。バーカ、なんて言って頭をごついてくれるんだと思った。
一瞬驚いた顔をして、それからすぐに真顔になってこう口を開いた。
「誰とも付き合う気なんねぇよ」