甘くて切なくて、愛おしくて
大切で、愛おしい人



「ぶははははっ!あんたそれで筋肉痛とか笑わせないでよっ!」



早朝のオフィスに美香子の笑い声が響き渡る。幸い、今の時間は誰もいないため、大きな声で笑われても大丈夫といえば大丈夫なんだけれども。でもその笑い方ってちょっとないと思う..



「どおりであんたがパンツスーツなんて珍しいと思ったのよ」



涙を拭きながら朝会議の資料をホチキスで留めていく。今日は10時から緊急の会議が入っていて、その為の作業に割り当てられたあたしと美香子は二人で朝から会議の為に使う資料を作っていく。数は全部で30。着々とそれらは出来上がってきている。



「だって湿布ないと動けないんだもん」


「その歳で湿布のありがたさが分かるなんてね」


「放っておいてよ」


「大丈夫大丈夫、匂いはかすかに香ってくるだけだから」


「やだ、クサイ?」


「湿布の匂いを侮ってはいけませんよ、蝶花さん」



< 178 / 268 >

この作品をシェア

pagetop