甘くて切なくて、愛おしくて
美香子の言葉はあまりにも重く、ずっしりと胸に刺さった。
覚悟、そんなものを今まで考えた事なんかなかった。
だけど。
「美香子」
ふっと振り返って資料の束を綺麗にまとめている友人の方を向く。
「あたし、そういうのよく分からないけど。でも好きになった人に子供がいるだけだと思うんだ」
「そうね、でも多分あんたは死んだ奥さんには一生勝てないのよ」
「美香子?」
どうしてそんな悲しそうな顔をするの?
どうしてそんなきつい言い方をするの?
色んな疑問が頭をよぎっては消えていく。
「美香子はそういう人」
「あんたは、我慢できる?耐えられる?」
美香子のその質問に、あたしは答える事が出来なかった。