甘くて切なくて、愛おしくて


「みか..こ」



「あんた達が結ばれたら..あたしもきっとまた恋が出来ると思うから。未練がましいあたしからお願いするわ、必ず両想いになってね」





終わった恋を“過去”に出来ない人もいる。


それは未練、という言葉では片付けられない。大事な事だ。




「美香子、話してくれて、ありがとう」


「何あんたが泣いてるのよ、バカね」


「うぅ、だってぇ~~~」


「ほら、拭きなさいよ!」




いつの間にか慰められる側についてしまっている。渡されたハンカチで涙を拭くとふんわり美香子の香りがした。その隣で大きく息を吐く音が聞こえて、ぎしっと立ち上がる。


「さてと、明日も仕事だし、今日はあんたのとこ泊めてもらうわよ」


「へ?何であたしの家?」


「だって終電逃したし。ここからなら近いでしょ?あんたの家」





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