甘くて切なくて、愛おしくて


けたたましい音が部屋中に鳴り響く。響く頭痛をなんとかおさえながら手を伸ばして携帯を取る。


ディスプレイを見るとどうやらアラームではないみたいで。
朝からあたしの携帯を鳴らした人を思い出すと半分開いた瞼が一気に開いた。



どう、して?何でこんな朝早く?いつまで経っても鳴りやまない携帯を持って通話ボタンを押した。


「も、しもし..」


「おはよう加賀見さん、今君のマンションに来ているんだ。今から会える?」


「えっと..」


今から会えるって..会社に行っても会えるはずなのに。ついしかめてしまった顔を元に戻して時計を見やる。時刻は丁度7時を指していた。後ろから美香子の唸り声が聞こえてくる。


「もしかして沢城さんと一緒?」


「いえ、そういうわけではないんですけど..てか今美香子が..笹原が家に泊まってて」


「そうなんだ。ちょっと急ぐんだ。あと10分くらいで出て来れる?」


「分かりました、行きます」



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