甘くて切なくて、愛おしくて
最終章
やってしまったと、思った時は既に遅く。振り返ると二人の姿は何処にもなかった。
どうせたいした感情じゃない。時間が経てばすぐに消えてなくなる。
改札を通り、階段を上る。最後を上り終えた後に見えたのは自分が乗るはずだった電車が行ってしまう所だった。しまったと心の中で舌打ちをしながら、溢れるような人達をすり抜けながらいつも待つ場所まで向かう。ここで待つ人は誰もいない。一番前に立って次の電車が来るのを待つ。
といってもあと3分でくるか..
都心に向かう電車は本数が多い。なので多少遅くなってもまたすぐに次の電車が来る。
ここから乗って30分、で、学校に着くのが10分後。職員室に行って3分それから..
頭の中で綿密に計算をする。大丈夫だ、何とか間に合いそうだ。
“間もなく~行きが参ります、黄色い線の..”
駅員のアナウンスと共に電車がやってきた。