甘くて切なくて、愛おしくて
翌朝。
いつものように家を出て、いつものようにエレベータに乗って、いつものように下に着いて、いつものようにエントランスを出るといつもとは少しだけ違う光景が目の前に広がった。
男の子たち二人と大人の男女二人が、それぞれ向かい会うように立っている。
すると男の人が深く頭を下げ、それを女の人が見下ろすように見ている。隣に立っていた子もまた、バカにしたような顔をしてもう一人の男の子を見て笑ってる。
もしかして、と思いながら距離を詰めると、聞き覚えのある男の人の声が聞こえた。
「この度は、大変申し訳ありませんでした」
やっぱり、沢城さんだ。
「困るんですよ、うちの子に変なちょっかい出してもらうの、
止めてもらえません?」
「...申し訳、ありません」
「ちょっと顔がいいからって、
それで子育てが出来るなんて大間違いですよ」
「..はい」